ジャーナル

「疲れているのに原因がわからない」その慢性疲労、栄養学で根本から解決できるかもしれません

「毎朝アラームを止めた瞬間から、もうしんどい。」
「仕事中ボーッとして、午後になっても頭が全然回らない。」
「健康診断では異常なし。でも、全然元気になれない。」

そんな悩みを抱えながら、今日もどこかで頑張り続けているビジネスパーソンの方は、実はとても多くいます。

病院に行っても「特に問題はありません」と言われる。
マッサージに行っても、翌日にはまた同じ重だるさが戻ってくる。
「体質だから仕方ない」「年齢のせいかな」と、諦めかけていませんか?

HOOPでは、そうした慢性的な疲労の「本当の原因」は、血液の中に隠れていることが多いと考えています。
その鍵を握るのが、分子栄養学(オーソモレキュラー)と呼ばれるアプローチです。

この記事では、「なぜ栄養が疲労回復の鍵なのか」「血液検査のどこを見れば原因がわかるのか」を、できるだけわかりやすく解説します。
最後まで読んでいただければ、「なんとなくしんどい」に振り回されない、根拠のある回復戦略がきっと見えてくるはずです。

「異常なし」でも疲れが抜けないのはなぜ?——従来の栄養学との決定的な違い

一般的な健康診断の血液検査では、各数値に「基準値」というものがあります。
その基準値の範囲内であれば「正常」、外れていれば「異常」——というシンプルな判断がなされます。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。

その「基準値」は、病気かどうかを判断するための数値です。
言い換えると、「病気ではない」ことを示しているに過ぎず、「細胞がちゃんと機能しているか」を保証するものではないのです。

従来の栄養学が「平均値」を基準にしている問題

従来の栄養学では、食事バランスガイドのような一般的なガイドラインに沿って、「推奨摂取量」を提示することで食事・栄養のバランスを整えようとします。
これは、あくまで「万人にある程度当てはまる平均的な数値」をもとにした指導です。

しかし人間の身体は、それぞれまったく異なります。
年齢、身体の大きさ、生活スタイル、ストレスの度合い、さらには抱えている不調の種類によって、必要な栄養素の量は大きく変わります。
それどころか、同じ栄養素でも人によって必要量が40倍以上違うこともあります。

分子栄養学は「個体差」に目を向ける

そこで注目されるのが「分子栄養学(オーソモレキュラー)」です。
これは、「その人にとっての最適な量の栄養素を用いて、一つ一つの細胞(分子)をきちんと機能させていくための栄養学」と定義されます。

分子栄養学では、血液検査の数値を「病気かどうか」の判断に使うのではなく、「細胞が十分に機能しているか」という観点で読み解きます。
その上で、足りない栄養素を食事やサプリメントで補い、細胞レベルでの機能改善を目指していくのです。

「検査で異常なし」なのに疲れが抜けない方の多くは、
この「細胞が機能しているかどうか」という観点が、これまで完全に抜け落ちていた可能性があります。

慢性疲労の根本原因①:血糖の問題——「エネルギー切れ」が毎日繰り返されている

慢性的な疲労の原因を探るとき、まず最初に注目するのが「血糖の問題」です。

「朝起きるのがとにかくしんどい」「午前中はボーッとしている」「昼過ぎに手が震えて落ち着かなくなる」
——こういった症状は、実は血糖値の不安定さと深い関係があります。

「空腹時血糖」を分子栄養学的に読む

血糖の問題を評価するうえで、まず注目すべきは「空腹時血糖」です。
これは食後5時間以上経過した後の血糖値のことで、一般的な血液検査の基準値は70〜110mg/dLとされています。

しかし分子栄養学的な基準値は「90〜100mg/dL」。
90を下回ると「警告値」、80を下回ると「危険値」と評価します。

血糖値が低いということは、脳や身体に届くエネルギーが慢性的に不足している状態を意味します。
「異常なし」の範囲内(例えば78mg/dL)であっても、分子栄養学的には「エネルギーが足りていない」という解釈になるのです。

HbA1Cの「低い側」にも注目する

HbA1Cという検査数値をご存知でしょうか。
これは赤血球に含まれるヘモグロビン(酸素を運ぶタンパク質)が糖と結合したもので、約2ヶ月間の血糖の推移を反映しています。

一般的にはHbA1Cが「高い」と糖尿病リスクとして警戒されますが、分子栄養学では「低い側の値」にも着目します。
HbA1Cが5.0未満は「警告値」、4.6未満は「危険値」——これは、2ヶ月にわたって慢性的に低血糖が続いていたことを意味します。

「補食」で血糖を安定させる介入

実際に行われる介入の一つが、「補食」の提案です。
1日3食以外のタイミングで少量の補食をとることで、血糖値を安定させていきます。

特に効果的なのが「睡眠前の補食」。
就寝中は食事がとれないため血糖値は下がり続けますが、寝る前に消化の良いスープなどを少量摂取することで、就寝中の血糖が安定し、睡眠の質が向上します。
朝の起床時血糖が90以上になってくると、「朝スッキリ起きられる」という変化が現れてきます。

「朝、食欲がない」という方も多いですが、それ自体が血糖不安定のサインである可能性があります。
補食で日中の血糖を安定させることで、少しずつ朝の食欲が戻り、正のサイクルが生まれていくのです。

慢性疲労の根本原因②:鉄欠乏——「血液検査で正常」でも鉄不足は起きている

慢性的な疲労・息切れ・不安感——これらの症状の背景に、「鉄欠乏」が潜んでいることが非常に多いと言われています
特に女性は月経による鉄の損失があるため、自覚のない鉄不足に陥りやすい傾向があります。

「ヘモグロビン」だけでは鉄欠乏はわからない

鉄欠乏と聞くと「貧血」を思い浮かべる方が多いでしょう。
貧血の判断に使われるのがヘモグロビン(血色素量)ですが、実はヘモグロビンだけを見ていては、本当の鉄欠乏は見えてきません。

なぜかというと、ヘモグロビンが減り始めると、身体は貯蔵鉄である「フェリチン」から鉄を取り出してヘモグロビンの量を維持しようとするからです。
つまり、ヘモグロビンが正常値であっても、フェリチン(=鉄分の金庫)はすでに空っぽに近い状態、ということが起きているのです。

分子栄養学的なフェリチンの基準値

フェリチンの一般的な基準値は、女性で5〜157ng/mLとされています。
しかし分子栄養学的な基準値は男女ともに「60〜80ng/mL」。
50ng/mL未満で「警告値」、25ng/mL未満は「危険値」と評価します。

女性の方の事例では、
ヘモグロビンが12.9g/dLと「通常の基準値内」であるにもかかわらず、フェリチンは4ng/mL以下という深刻な状態でした。
主訴は「慢性的な疲労感」「踊るとすぐ息切れする」「突然パニックになる」——これらがすべて鉄欠乏によるものと判断されたのです。

この知見は、研究でも裏付けられています。
2003年にBMJに掲載されたVerdonらの二重盲検RCT1)では、ヘモグロビンは正常範囲内でフェリチンが低い女性(フェリチン≦50μg/L)に鉄補充を行ったところ、1ヶ月後に疲労スコアが約29%改善し、プラセボ群(13%改善)と比較して有意な差が確認されました。
また、2011年にBloodに掲載されたKrayenbuehlらのRCT2)では、フェリチン15ng/mL以下の非貧血女性の80%以上が、鉄補充後6〜12週以内に疲労の改善を報告しています。

「炎症があると鉄は吸収されない」——順序が重要

鉄欠乏への対処で注意すべき重要なポイントがあります。
それは、体内に炎症がある状態では、鉄は腸から吸収されにくいという事実です。

炎症のマーカーとして使われる「CRP(C反応性蛋白)」が高い場合、いくら鉄を補充しても思うように吸収されません。
そのため、炎症がある場合は先に炎症を抑えることを優先します。3)
具体的には、オメガ3のサプリメント(EPAやDHA)の摂取、食物繊維の摂取による腸内環境の改善、プロバイオティクス(善玉菌)の摂取、食事で摂る油の質の改善(オリーブオイルなど)を行ってから、鉄分豊富な食品を摂取していくという順序で介入を進めます。

「順序を間違えない」——これが、鉄欠乏への栄養介入で最も重要な視点です。

疲労回復に栄養が先、運動はその後——HOOPが実践する「充電してから動く」アプローチ

ここまで読んでいただいた方の中には、「じゃあ、とにかくサプリを飲めばいいの?」と思われた方もいるかもしれません。
しかしHOOPでは、順序の大切さを強調します。

慢性的に栄養が足りていない場合、いきなりハードな運動を行うと、むしろ体調を悪化させる可能性がある。
まずはバランスの良い食事でしっかり栄養を補うことが重要なのです。

これはちょうど、電池が切れかけたスマートフォンで高負荷なアプリを動かし続けるようなもの。
先に充電する(=栄養を整える)ことで、初めてパフォーマンスを発揮できる状態になるのです。

「食事・運動・睡眠」——3つを統合して初めて機能する

「食事・運動・睡眠の3つが揃って初めて機能する」ことが大切です。
どれか一つが欠けていると、残りの2つの効果も大きく損なわれます。

特に睡眠の質は、血糖の安定とも深く関わっています。
就寝中の血糖が不安定だと夜中に目が覚めやすくなり、朝の目覚めも悪くなる。
逆に栄養が整って血糖が安定してくると、睡眠の質が上がり、朝スッキリ起きられるようになる。
——この好循環が、慢性疲労からの回復の核心です。

HOOPが大切にする「自分の状態を正しく知る」というプロセス

まず「自分の身体がいまどういう状態にあるのか」を正しく把握する。
そのうえで、運動・栄養・呼吸・睡眠を統合的に整えていく。
これが、根性論や「とりあえずハードに動く」という発想とは根本的に異なる、HOOPのアプローチです。

分子栄養学の知見をベースに、血糖・鉄・炎症という3つの視点から身体の内側を整え、
そこに運動・呼吸・コンディショニングを組み合わせることで、「ただ疲れにくい身体」ではなく、「エネルギーに満ちた状態が続く身体」をつくっていきます。

HOOPでのパーソナルトレーニングでは、カウンセリングを通してあなたの生活習慣・食事・不調のパターンをていねいにヒアリングし、一人ひとりに合った具体的なアドバイスをお伝えしています。
「何から手をつければいいかわからない」という方こそ、まずは気軽にご相談ください。

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MR.HOOPのワンポイント・アドバイス

やあ!みんな、調子はどう?MR.HOOPだよ!

今日の記事、ちょっとむずかしかったかな?でも大丈夫、ポイントはシンプルだよ。

ぼくもテスト前になると、「ちゃんと寝たのに全然頭が働かない」ってなることがあるんだよね。
そういうとき、実は朝ごはんをちゃんと食べていなかったり、夜中にお菓子だけで済ませていたりすることが多いんだ。
この記事でいう「血糖の問題」って、まさにそれが原因で、脳や身体に届くエネルギーが足りていない状態が続いているってことなんだよね。

スマホだって充電が20%を切ったら動作が遅くなるでしょ?
身体も同じで、血糖(エネルギー)が足りていない状態では、どれだけ頑張っても本来の力は出ないんだよね。

だから、「自分の身体が今どんな状態か」を知ることが、まず一番大事なんだ。
やみくもに食べたり、サプリを飲んだりするより、何が足りていないかをちゃんと知ってから動く——それがこの記事のいちばんのポイントだと思うよ!
「なんかずっと疲れてるな」って思ったら、一人で抱え込まずに、ぜひ専門家に相談してみよう!

あと、鉄分の話も大事だったけど、
「なんかいつも疲れてる」「朝ぜんぜん起きられない」って感じているみんな、特に心当たりない?
もしかしたら血液の中の「フェリチン」が少ないサインかもしれないから、一度気にしてみてね。

難しいことは片貝トレーナーに相談して、まずは今日から「食べること」を大切にしてみよう!

おわりに

「検査で異常なし」と言われたのに疲れが取れない——その理由は、従来の医学的基準が「病気かどうか」を見るためのものであり、「細胞が最適に機能しているか」を見るためのものではないからかもしれません。

分子栄養学の視点で血液データを読み解くと、血糖の慢性的な低下や、フェリチンに代表される貯蔵鉄の枯渇など、これまで見落とされていた「隠れた原因」が見えてきます。

大切なのは、まず自分の身体の状態を正しく知ること。
そして栄養を整え、睡眠の質を高め、そこに適切な運動を組み合わせること。
この順序を守ることで、「ただ疲れにくくなる」だけでなく、「エネルギーが持続する身体」へと着実に近づいていくことができます。

HOOPでは、こうした栄養学の知見と、呼吸・インナーマッスル・アライメントなどの身体機能へのアプローチを組み合わせた、根本からコンディションを整えるパーソナルトレーニングを提供しています。
「何から始めればいいかわからない」という方も、まずは一歩踏み出してみてください。

あなたの「毎朝スッキリ起きられる身体」づくりを、HOOPは全力でサポートします。

引用文献

1)Verdon F, et al. Iron supplementation for unexplained fatigue in non-anaemic women: double blind randomised placebo controlled trial. BMJ. 2003;326(7399):1124. PMID: 12763985

2)Krayenbuehl PA, et al. Intravenous iron for the treatment of fatigue in nonanemic, premenopausal women with low serum ferritin concentration. Blood. 2011;118(12):3222-3227. https://ashpublications.org/blood/article/118/12/3222/28818/

3)分子栄養学とは?トレーナーが学ぶとどのような介入ができるか事例解説. AZCARE ACADEMY. https://academy.azcare.jp/owned_media/orthomolecular/(2022年12月)