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試合前の呼吸で集中力を高める方法|緊張をパフォーマンスに変えるスポーツ呼吸のコツ

「試合前になると心臓がバクバクして、いつもの動きができなくなります」
「頭では落ち着こうと思うのに、深呼吸しても余計に息苦しくなります」
「試合が始まっても集中が入らず、気づいたら前半が終わっていました」

試合前の緊張は、真面目に競技に向き合っている人ほど強く出ます。
そして多くの選手が、深呼吸をすれば落ち着くと信じて、うまくいかずに悩んでいます。
実は、試合前の呼吸にはやり方と使いどころがあります。
この記事では、呼吸が集中力にどう関わるのか、試合前に何をすればいいのかを、研究と現場の知見をもとにお伝えします。
読み終えるころには、次の試合前に試せる具体的な手順が手に入っているはずです。

試合前に緊張すると集中力が落ちる理由

ロッカールーム

緊張すると、身体は戦う準備に入ります。
心拍が上がり、呼吸が浅く速くなり、肩や首まわりに力が入ります。
この状態は、交感神経(アクセルの役割をする神経)が強く働いているサインです。
本来は力を発揮するための反応ですが、強すぎると視野が狭まり、考えがまとまらなくなります。
「頭が真っ白になる」という感覚は、まさにこの状態から生まれます。

呼吸が浅く速くなると、気持ちも追い立てられる

緊張した選手の呼吸を見ていると、胸の上のほうだけで小刻みに息をしていることがほとんどです。
この浅く速い呼吸は、身体に「今は危険な場面だ」という信号を送り続けます。
すると気持ちもそれに引っ張られ、さらに焦りが強まります。
身体と気持ちが、お互いを追い立て合う形になってしまうのです。
だからこそ、集中力を高めたいなら、気持ちを変えようとする前に呼吸のペースを変えるのが近道です。
呼吸は、自分の意思で操作できる数少ない身体のスイッチだからです。

息を吐く力が、気持ちの切り替えスイッチになる

大きな期待やプレッシャーから生まれる不安は、交感神経を働かせます。
そこで息をゆっくり吐くと、身体は副交感神経(ブレーキの役割をする神経)が優位な状態へ切り替わっていきます4)。
吸う息は交感神経、吐く息は副交感神経と考えると、イメージしやすいです。
緊張を抑えたいときに吸うことばかり意識すると、アクセルを踏み足すことになります。
大切なのは、吐くほうに時間をかけることです。

呼吸で集中力が高まると言える根拠

呼吸と集中力の関係は、スポーツの研究でも扱われています。
ここでは、読者の皆さんの競技に置き換えて読める範囲で、3つの研究を紹介します。

ゆっくりした呼吸は、試合中の集中の維持に役立つ

競技中の呼吸のペースが、身体と心にどう影響するかをまとめたレビュー研究があります1)。
この研究は、ゆっくり意図的に行う呼吸が、トレーニングや試合の中で集中力を保つのに役立つと述べています。
さらに、ストレスや不安を下げることにもつながると整理しています。
反対に、意図しないまま呼吸が速くなる状態は、不安やめまい、ふらつきを引き起こしやすいと指摘しています。
つまり、試合前から呼吸の速さを自分で整えておくことは、集中力を守る準備になります。

激しく動いたあとでも、判断の精度が保たれる

別の研究では、きつい運動のあとにゆっくりした呼吸を行い、衝動を抑えて正しく判断する力を調べています2)。
その結果、ゆっくりした呼吸を行ったときは、何もせず休んだときよりも判断のミスが少なくなりました。
試合では、疲れているときほど「今、このプレーを選ぶ」という判断の質が問われます。
息が上がった場面で呼吸のペースを整えられる選手は、頭の働きを保ちやすいのです。
この研究が使っていたペースは、1分間に約6回の呼吸でした。

身体は落ち着くが、気持ちの変化には練習がいる

アスリートに短時間のゆっくりした呼吸を行ってもらった研究もあります3)。
呼吸のあと、心臓を落ち着かせる神経の働きは、安静にしていたときより高まりました。
一方で、気持ちの面では、直後にむしろ緊張を感じる場合がありました。
研究者は、慣れない呼吸による息苦しさが関係していると考えています。
この結果が教えてくれるのは、呼吸は本番で初めて試すものではなく、普段から練習して身につけるものだということです。
冒頭の「深呼吸したら余計に息苦しくなる」という悩みの正体も、ここにあります。

試合前にやるべき呼吸の整え方

では、試合前に何をすればいいのでしょうか。
基本はとてもシンプルです。
3秒吸って、9秒から12秒かけて吐いて、3秒止めます。
この流れを数回くり返します。

鼻から吸って、細く長く吐く

吸うときは鼻から、下腹とあばらが横に広がるのを感じながら吸います。
胸の上だけを持ち上げると、肩に力が入って逆効果です。
吐くときは、ロウソクの火を揺らさないくらいの細さで、ゆっくり長く吐きます。
吐き切ると、下腹がふっとへこみ、肩が自然に下がります。
この3秒の止めがあることで、気持ちが一度フラットに戻ります。

試合の何分前から始めるか

ウォームアップの前後、移動中、ロッカールームで座っているときなど、試合の30分から1時間前を目安にゆったり行います。
1回あたり3分ほど、数セット行えば十分です。
キックオフやスタートの直前になって慌ててやるより、少し余裕をもって身体を落ち着かせておくほうが効果的です。
なお、1分間に約6回という研究のペースは、このリズムと同じ考え方です2)4)。

プレーの最中は、呼吸を意識しすぎない

ここがとても大切なところです。
ここ一番の場面で、呼吸のことばかり考えるのはおすすめしません。
最高のパフォーマンスは、無意識の呼吸の中から生まれます。
プレーの瞬間に吸っているか吐いているかも、気にする必要はありません4)。
呼吸は、試合前に整えておく。
そして試合が始まったら、目の前のプレーに意識を向ける。
この切り替えが、集中力を最大限に引き出します。

呼吸を試合で使えるレベルにする日々の準備

試合前の呼吸を本番で使いこなすには、普段の積み重ねが欠かせません。
先ほどの研究が示したように、呼吸の効果は、慣れるほど安定して出てきます3)。

まずは自分の呼吸の基準を知る

最初にやってほしいのは、自分の呼吸の「いつもの状態」を知ることです。
仰向けで膝を立て、お腹と胸に手を置いて、何もせずに数回呼吸してみてください。
胸ばかり動いていないか、息を吐くときに力んでいないか、息が止まりがちではないかを確かめます。
自分の基準がわかると、緊張で崩れたときに「いつもより浅いな」と気づけるようになります。

1日3回、1回3分を続ける

基準がわかったら、先ほどの呼吸を1日に3回、1回3分ほど続けます5)。
起きた直後、練習の前、寝る前など、生活の中の決まったタイミングに組み込むと続きます。
続けていくと、試合前のあの息苦しさが少しずつ減り、いつもの感覚で呼吸のペースを落とせるようになります。

呼吸だけでは変わらない場合は、身体の使い方を見直す

練習しているのに、どうしても胸ばかりで息をしてしまう選手がいます。
その背景には、あばらの動きの硬さや、体幹の安定のなさが隠れていることが多いです。
呼吸は、姿勢や体幹の安定とも深く関わっています4)。
呼吸の通り道である身体が整っていないと、どれだけ練習しても浅い呼吸のままです。

PRIVATE GYM HOOPでは、まさにここから整えていきます。
プロサッカーチームのリハビリ、ケア、パフォーマンストレーニングに関わってきた理学療法士の資格を持つトレーナーが、一人ひとりの身体を丁寧に評価します。
呼吸を整えたうえで、競技に必要な身体を適切に作っていきます。
試合前の緊張に悩む選手も、まずは自分の身体の状態を知るところから始められます。
HOOPでは、あなたの競技と目標に合わせて、呼吸、体幹、動きの順番で身体を整えていきます。
一人で悩まず、まずは気軽にご相談ください。

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MR.HOOPのワンポイント・アドバイス

MR.HOOP

やあ!みんな、調子はどう?MR.HOOPだよ!
試合前にドキドキするのは、本気で勝ちたいと思っている証拠だよね!
その緊張を消そうとしなくていいんだ。
ドキドキを、ゆっくり吐く息で「使える力」に変えていけばいいはずさ。
今日からお風呂のあとや寝る前に、3秒吸って、ゆっくり吐く練習を3分だけやってみてほしいんだ。
そうすれば、次の試合前には、きっと落ち着いた自分に会えるはずさ。

おわりに

試合前の緊張は、悪者ではありません。
身体が戦う準備をしている、自然な反応です。
ただ、その反応が強すぎるとき、呼吸のペースを整えることで集中力を取り戻せます。
3秒吸って、9秒から12秒かけて吐いて、3秒止める。
試合前にこの呼吸を行い、プレーが始まったら呼吸のことは手放して、目の前の一瞬に集中してください。
そして、その呼吸を本番で使えるようにするのは、日々の練習と、呼吸の土台となる身体づくりです。
PRIVATE GYM HOOPは、あなたが最高の状態で試合に臨めるよう、身体の面から支えます。

引用文献

1)Migliaccio GM, Russo L, Maric M, Padulo J. Sports Performance and Breathing Rate: What Is the Connection? A Narrative Review on Breathing Strategies. Sports (Basel). 2023;11(5):103. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10224217/
2)Laborde S, et al. Influence of Slow-Paced Breathing on Inhibition After Physical Exertion. Frontiers in Psychology. 2019. https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2019.01923/full
3)You M, Laborde S, et al. Emotional Intelligence Training: Influence of a Brief Slow-Paced Breathing Exercise on Psychophysiological Variables Linked to Emotion Regulation. International Journal of Environmental Research and Public Health. 2021. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8296389
4)ライフハッカー[日本版]. 呼吸に関する書籍の紹介記事(アスレティックトレーナー・呼吸コンサルタントの解説). https://www.lifehacker.jp/article/book_to_read_respiration/
5)パナソニック Life 健康コラム. 呼吸と自律神経に関する解説記事(アスレティックトレーナー・呼吸コンサルタントの解説). https://panasonic.jp/life/health/160106.html