「ヒップロックをやってみたけど、骨盤が動いているのかどうか自分では分からない」
「股関節から動かしたいのに、どうしても腰ばかり反ってしまう」
「競技中に踏ん張りがきかなくて、身体が流れてしまう」
そんな悩みを抱えている方は少なくありません。
骨盤は、動かせばいいというものではないんです。
どこを止めて、どこを動かすか。
この切り分けができた瞬間に、動きの質はガラッと変わります。
この記事では、ヒップロックの考え方と、骨盤の動かし方の基本を、順番にお伝えしていきます。
ヒップロックとは?骨盤を安定させて股関節から動く考え方
ヒップロックは、骨盤まわりの筋肉で骨盤をしっかり安定させたまま、股関節から力を出していくトレーニングの考え方です。
サッカーのゴールキーパーに導入した研究では、トレーニングをした選手の全員で、反対側の脚の股関節を伸ばす力が高まっています。4)
その理由として、骨盤まわりの安定が得られたことと、地面に力を伝える感覚が高まったことが挙げられています。4)
つまり、骨盤が安定すると、脚で生んだ力が逃げずに地面へ伝わるということです。
グラグラした台の上からジャンプしても、高く跳べませんよね。
骨盤が不安定な状態は、まさにその台と同じです。
どれだけ脚を鍛えても、土台が揺れていたら、力は途中で漏れてしまいます。
身体を低くしにくい、重心を移しにくい選手に役立ちます
同じ研究では、進む方向に身体を低くしにくい選手や、重心をスムーズに移しにくい選手に、ヒップロックとその応用が役立つと結論づけています。4)
ステップの切り返し、ボールへの寄せ、片脚での踏ん張り。
競技で必要な動きの多くは、骨盤が安定していて初めて成り立ちます。
ここで大切なのは、「骨盤を固める」という言葉を、ガチガチに力むことだと思わないことです。
固めるというより、ブレないように支えるイメージが近いですね。
力んで止めると、今度は股関節が動かなくなります。
骨盤の動かし方の基本は「前後に傾ける」ことから

骨盤の動きにはいくつか種類がありますが、いちばん基本になるのは前後の傾きです。
骨盤が前後に傾く動きは、骨盤傾斜と呼ばれています。1)
この傾きは、筋肉の緊張、痛み、骨の形、まわりの関節の動きなど、いろいろな要素の影響を受けています。1)
だからこそ、まず自分の骨盤がどう動くのかを、感じ取れるようにしておくことが出発点になります。
立って行う骨盤の前後ロックの手順
やり方はシンプルです。
- 足を腰幅に開いて立ち、両手を骨盤のいちばん上のあたりに添えます。
- 骨盤の上側をゆっくり後ろへ倒して、腰のカーブを平らにします。
- いったんまっすぐの位置に戻します。
- 次は骨盤の上側をゆっくり前へ倒して、腰を軽く反らせます。
- また、まっすぐの位置に戻します。
これを8回から12回、ゆっくりやさしく繰り返します。2)
大きく動かそうとしなくて大丈夫です。
勢いをつけず、手のひらで骨盤の傾きを確かめながら進めてください。
腰ではなく骨盤が動いているかを確かめるコツ
よくあるのが、腰の骨だけをグイッと反らせて、骨盤は置き去りになっているパターンです。
手を添えた骨盤が、前後にコロコロ転がっているかどうか。
ここを必ず確認してください。
お腹のあたりを軽く意識して、おへそを少し引き込むようにすると、骨盤が後ろに倒れる感覚をつかみやすくなります。
動かしにくい方向があっても、それは自然なことです。
片側だけ動きにくい、前は動くのに後ろが動かない、といった差がはっきり分かれば、それがあなたの身体の現在地になります。
骨盤を動かしても股関節が動かない理由と見直しポイント

骨盤がうまく動かない原因を、立ち姿の見た目だけで決めつけるのは危険です。
立っているときの骨盤の傾きと、股関節の回しやすさや筋力のバランスには、関連がなかったという報告があります。3)
反り腰に見えるからこの筋肉が硬い、というような単純な話ではないということです。
大切なのは、静止した姿勢ではなく、動いているときに骨盤がどう動いているかを見ることです。1)
股関節の曲がる範囲を使い切ると骨盤が代わりに動く
しゃがむ動きを調べた研究では、骨盤が後ろに倒れはじめるのは、股関節の曲がる範囲を使い切ったあとだと考えられています。5)
つまり骨盤が丸まるのは、股関節が頑張り切った末の、代わりの動きなんですね。
腰が丸まるから骨盤を直そうとするのではなく、股関節がどこまで曲がっているかを見直すことが先です。
さらに、骨盤が前に傾きすぎていると、股関節が詰まる手前で使える範囲が狭くなることがあります。1)
前に傾けたまま深く股関節を曲げようとしても、早い段階でどん詰まりになるわけです。
動作中に確かめたい3つのポイント
- 骨盤の上側が前後にブレず、一定の位置を保てているか
- 左右で、動き出しの滑らかさや可動範囲に差がないか
- 腰を反らせて代わりに動いていないか
この3つは、スクワットでも片脚立ちでも、サッカーのステップでも共通して確認できます。
鏡の前や動画で、ぜひ自分の動きを見てみてください。
ヒップロックでよくある失敗
一番多いのは、力み過ぎて息が止まり、お腹もお尻もガチガチになるパターンです。
これでは骨盤は安定ではなく、ただ固まっているだけです。
次に多いのが、骨盤を安定させようとして、腰を反らせた状態で固めてしまうパターンです。
腰が反ると、骨盤は前に傾いた位置で止まってしまい、股関節の使える範囲が狭くなります。1)
三つ目は、左右のどちらかに体重が逃げているのに気づかないパターンです。
片脚で支える動きは、競技の場面で何度も出てきます。
左右で同じ安定感が出ているかを、練習のたびに確かめてください。
うまくいっているときの目安は、動いても骨盤の位置が変わらず、脚だけがスッと軽く動く感覚です。
股関節の奥から脚が動き出す感じがあれば、いい状態です。
この感覚が出たら、そのまま競技の動きに移していきましょう。
毎日のウォームアップに組み込む流れ
ヒップロックの練習は、長時間やる必要はありません。
練習前の数分間で、骨盤の前後ロックを数回、そのあとに片脚で立って骨盤の位置が保てるかを確かめます。
この短い確認だけで、その日の身体の状態が見えてきます。
昨日より動かしにくい側がある日は、疲れがたまっているサインかもしれません。
無理に動かす必要はなく、その日の状態に合わせて、動かせる範囲を丁寧に使ってください。
大事なのは、うまくできる日を増やすことより、毎回同じ手順で確かめて、自分の基準をつくることです。
基準があれば、調子が落ちたときにも、どこが崩れたのかにすぐ気づけます。
骨盤の動きは、練習量よりも、気づく力で変わっていきます。
ケガをしにくい身体づくりにも、この習慣は役立ちます。
骨盤が不安定なまま股関節や膝に負担が集まると、使いすぎによる痛みにつながりやすいからです。
骨盤のブレが減れば、脚の負担は減り、動きにも余裕が生まれます。
競技で使えるヒップロックの練習と、PRIVATE GYM HOOPでの整え方

基本の前後ロックで骨盤の動きがつかめたら、次は動きの中で骨盤を安定させる練習に進みます。
順番は次のとおりです。
- 立ったままで骨盤の前後ロックをして、動かせる範囲を確認する
- 骨盤を安定させたまま、片脚に体重をのせて股関節だけを軽く曲げ伸ばしする
- ゆっくりしたステップや重心移動の中で、骨盤の位置が変わらないか確認する
- スピードを上げて、切り返しやボールへの寄せの動きに取り入れる
どの段階でも、骨盤がブレた瞬間にスピードを落として、前の段階に戻ってください。
骨盤の安定が先で、スピードは後です。
焦って進めると、元の癖がそのまま速くなるだけです。
ただ、自分の骨盤の動きを、自分の感覚だけで確かめるのには限界があります。
動きにくい理由が、股関節の硬さなのか、骨盤まわりの筋肉の使い方なのか、足元の安定なのか。
ここを切り分けられると、練習の効果は大きく変わります。
PRIVATE GYM HOOPでは、プロサッカーチームのリハビリ、ケア、パフォーマンストレーニングに携わってきた理学療法士の資格を持つトレーナーが、骨盤と股関節の動きを一人ひとり確認します。
そのうえで、呼吸を整え、競技に必要な身体を、土台から適切につくっていきます。
動きの癖、左右差、踏ん張りがきかない原因を見つけて、あなたに合ったヒップロックの進め方をご提案します。
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MR.HOOPのワンポイント・アドバイス

やあ!みんな、調子はどう?MR.HOOPだよ!
骨盤の練習って、地味だなと思うかもしれないよね!
でも、派手なシュートも鋭い切り返しも、土台の骨盤が安定していて初めて決まるはずさ。
うまくいかない日は、スピードを落として、手を骨盤に当てて確かめるところからやり直そうよ。
遠回りに見えて、いちばんの近道になるはずさ。
おわりに
ヒップロックは、骨盤を安定させて、股関節から力を出すための考え方です。
まずは立って骨盤を前後に傾け、腰ではなく骨盤が動いているかを手で確かめてください。
そのうえで、動いている最中に骨盤がブレないか、股関節の曲がる範囲を使えているかを見直します。
一人で判断が難しいときは、専門家の目を借りるのも大事な選択です。
あなたの動きが一段上がるきっかけになれば、うれしいです。
引用文献
1)Suits WH. Clinical Measures of Pelvic Tilt in Physical Therapy. International Journal of Sports Physical Therapy. 2021. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8486407
2)HealthLink BC(Healthwise). Pelvic Rock, Standing. https://healthlinkbc.ca/healthwise/pelvic-rock-standing
3)Herrera MC, Amasay T, Egret C. Lack of Correlation Between Natural Pelvic Tilt Angle with Hip Range of Motion, and Hip Muscle Torque Ratio. International Journal of Exercise Science. 2021. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8136572/
4)Ito Y. Improving pelvic movements during diving in football goalkeepers: effects of hip-lock training. ISBS Proceedings Archive, Vol.40. 2022. https://commons.nmu.edu/isbs/vol40/iss1/71/
5)Hip Flexion Angles During Supine Range of Motion and Bodyweight Squats. International Journal of Exercise Science. 2021;14(1):912-918. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8439674