ジャーナル

筋肥大と栄養摂取の黄金比|分子栄養学でわかるタンパク質の摂り方

「筋トレを頑張っているのに、全然体が変わらない。」
「プロテインは飲んでいるつもりだけど、これで本当に足りているのかわからない。」
「ジムでのトレーニング強度を上げても、筋肉痛はあるのに見た目が変わらない。」
こんなモヤモヤ、抱えていませんか。

仕事終わりの貴重な時間を使ってジムに通い、重いダンベルを握りしめているのに、鏡の前に立っても変化が感じられない。
実はその原因、トレーニングの頑張り方ではなく「食べ方」に隠れていることが少なくありません。
筋肉は、鍛えた分だけ増えるわけではないのです。
今日は、筋肥大の裏側にある分子レベルの仕組みと、効率よく体を変えるための栄養摂取のポイントについて、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

筋肥大と栄養摂取の関係 なぜ「筋トレだけ」では足りないのか

ダンベルとサラダを持つトレーニングウェア姿の女性

筋肉は、トレーニングによって壊され、栄養によって修復されることで少しずつ大きくなっていきます。
専門的には、筋肉を作る働き(筋タンパク質合成)が、筋肉を分解する働き(筋タンパク質分解)を上回ったときに、はじめて筋肉は肥大していきます。
つまりトレーニングは、あくまで「合成のスイッチを入れるきっかけ」に過ぎません。
そのスイッチが入った後、実際に筋肉という建材を運び込んでくれるのが、食事から摂る栄養なのです。

どれだけ質の高いトレーニングを積んでも、材料が届かなければ工事は進みません。
多くの方が「筋トレ=頑張ること」にばかり意識を向けがちですが、分子栄養学的な視点で見ると、筋肥大は運動と栄養という両輪がそろって初めて成立する現象だとわかります。
次の章では、その「材料」であるタンパク質について、具体的にどれくらい、どう摂ればいいのかを見ていきましょう。

筋肥大を支えるタンパク質摂取の分子栄養学的な目安

皿に盛られたサラダチキン

1日の総量は、体重1kgあたり1.6g前後が一つの目安

「プロテインは多ければ多いほどいい」と思っている方も多いかもしれません。
研究データによると、レジスタンストレーニングを行っている健康な成人の場合、タンパク質補給は除脂肪体重や筋力の増加を有意に高めてくれる一方で、総タンパク質摂取量が体重1kgあたり約1.62gを超えると、それ以上摂っても筋量増加への上乗せ効果は見られなかったとされています1)。
体重70kgの方であれば、1日およそ113g程度が一つの目安になる計算です。
やみくもに量を増やすよりも、まずはこの基準を意識して「足りているかどうか」を確認することが先決です。
なお同じ報告では、年齢が上がるほどタンパク質補給の効果はやや弱まり、逆にトレーニング経験が長い人ほど効果が高まりやすいこともわかっています1)。

1回の食事で使える量にも目安がある

もう一つ見落とされがちなのが、「1回の食事でまとめて摂ればいい」という考え方です。
よく「一度に吸収できるタンパク質は20〜30g程度」と言われますが、これは正確には「吸収できる量」の話ではありません。
消化・吸収そのものには、実質的な上限はないとされています2)。
問題は「筋肉を作るために使われる量」のほうで、ここには一定の目安があると考えられているのです。
ある研究では、筋肉を作る働きを最大限に引き出すには、1食あたり体重1kgあたり約0.4gのタンパク質を、1日4回以上に分けて摂取することが推奨されています2)。
体重70kgの方であれば、1食あたり28g程度、つまり鶏むね肉100g強や卵3〜4個分に相当する量を、朝・昼・夕・間食といった形でこまめに分けて摂ることが大切になるのです。
どんぶり一杯の牛丼に偏った食事を一日一回だけ摂るよりも、少量をこまめに分けて摂る方が、筋肉という建物をコツコツ積み上げていくには理にかなっているというわけです。

筋肥大の鍵を握る「分子スイッチ」のメカニズム

タンパク質の中でも、特に筋肥大のスイッチを入れる力が強いとされているのが「ロイシン」というアミノ酸です。
ロイシンを豊富に含む栄養素を摂取すると、筋肉の細胞内にある「mTOR」と呼ばれる経路(筋肉を作るよう細胞に指令を出す司令塔のような仕組みです)が速やかかつ強力に活性化し、タンパク質合成のスイッチが入ることが報告されています3)。
さらに、レジスタンス運動の後にこのロイシンが豊富な栄養を摂取すると、このスイッチの反応がより強く引き出されることもわかっています3)。

イメージとしては、筋肉の細胞一つひとつに小さな鍵穴があり、ロイシンという鍵が差し込まれることで初めて「成長してよし」というゲートが開く、という感覚に近いかもしれません。
鍵がなければ、どれだけドアの前で待っていても扉は開きません。
逆に言えば、トレーニング後というゲートが開きやすいタイミングで、しっかりと鍵(ロイシンを含むタンパク質)を差し込んであげることが、効率よく体を変えるための近道になるということです。

実際に、トレーニング後12時間の回復期間において、80gのタンパク質を「20gずつ3時間おきに4回」摂取したグループは、「10gずつ1.5時間おきに8回」摂ったグループや、「40gずつ6時間おきに2回」摂ったグループよりも、筋肉を作る働きが高まったという研究結果もあります4)。
少なすぎず、多すぎず、ちょうどいい頻度とタイミングで鍵を差し込み続けることが、筋肥大という扉をスムーズに開き続けるコツと言えそうです。

筋肥大と栄養摂取を根本から見直す HOOPが大切にしているアプローチ

ここまでお伝えしてきたように、筋肥大は「頑張って追い込む」ことだけでは成立しません。
トレーニングという刺激と、タンパク質やロイシンといった栄養という材料、そして両者をつなぐタイミングという三つの要素がかみ合って、初めて体は変わっていきます。
自己流でプロテインを飲んでいるだけでは、せっかくのトレーニングの効果を十分に引き出せていないケースも少なくありません。

HOOPでは、呼吸を整えた上で、プレーや日常動作に必要な身体をしっかりと作っていくという視点を大切にしています。
単に重い重量を扱わせるのではなく、インナーマッスルの働きや骨格のアライメントを整えながら、その方の体重や生活リズムに合わせた栄養摂取のアドバイスまで含めてサポートしていく。
それが、デスクワークで凝り固まった体にも、本気で体を変えたいアスリートにも、結果として現れる変化につながっていくとHOOPは考えています。
自分の食事量やタイミングが本当に合っているのか、一度プロの視点でチェックしてみませんか。

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MR.HOOPのワンポイント・アドバイス

やあ!みんな、調子はどう?MR.HOOPだよ!

今日の話、筋トレを頑張っている人には結構刺さったんじゃないかな。
例えば、残業後にジムへ直行して、ヘトヘトのまま適当にコンビニのサラダチキンだけ食べて終わり、なんて日、心当たりある人もいるはずさ。

それだと、せっかく体を追い込んだのに、肝心の材料が全然足りていないかもしれないんだよね。
会議前にコーヒーだけで済ませて、気づいたらお昼までタンパク質ゼロだった、なんてこともよくあるパターンだと思うよ。
体づくりって、ジムにいる時間だけじゃなくて、デスクでの過ごし方も含めての勝負なんだよね。

難しく考えなくて大丈夫。
まずは朝食に卵を1個追加するとか、小さなところから始めてみてね。
その積み重ねが、半年後の自分の体を変えるはずさ!

おわりに

筋肥大は、トレーニングだけでなく、栄養というもう一つの歯車がかみ合って初めて進んでいきます。
1日の総タンパク質量、1回の食事で使える量、そしてロイシンというスイッチを押すタイミング。
この三つを意識するだけでも、同じトレーニング量からでも得られる結果は大きく変わってくるはずです。
自己流で頭打ちを感じているなら、一度その食べ方そのものを見直してみてください。
体は、正しい材料と正しいタイミングを与えられたとき、きちんと応えてくれるものです。

引用文献

1)Morton RW, et al. A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. British Journal of Sports Medicine, 2018; 52(6): 376-384.

2)Schoenfeld BJ, Aragon AA. How much protein can the body use in a single meal for muscle-building? Implications for daily protein distribution. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2018; 15:10.

3)Drummond MJ, Rasmussen BB. Leucine-Enriched Nutrients and the Regulation of mTOR Signalling and Human Skeletal Muscle Protein Synthesis. Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care, 2008.

4)Areta JL, et al. Timing and distribution of protein ingestion during prolonged recovery from resistance exercise alters myofibrillar protein synthesis. The Journal of Physiology, 2013; 591(9): 2319-2331.