ジャーナル

自分らしく動ける身体づくりとは?腰痛・疲れやすさを根本から見直す3つの土台

「マッサージを受けた日は楽なのに、2、3日するとまた腰が重くなる」
「しっかり寝たはずなのに、朝から身体が思うように動かない」
「仕事のストレスで、夜になっても頭も身体もオフにならない」

もし、ひとつでも思い当たるなら、少しだけ読み進めてみてください。
その不調は、あなたの努力が足りないからでも、歳のせいでもありません。
身体は、筋肉の量や柔らかさだけで動いているわけではないからです。
感覚、呼吸、神経の働き。
このあたりがうまく噛み合ってはじめて、身体は思い通りに動いてくれます。

この記事では、自分らしく動ける身体づくりに欠かせない考え方を、3つの視点からお話しします。
読み終わるころには、「なぜ揉んでも戻ってしまうのか」の見当がつき、今日からできる小さな一歩も見つかるはずです。

自分らしく動ける身体づくりは、筋肉よりも先に「感覚」から始まります

デスクから立ち上がろうとして、腰に手を当てている会社員

ちょっと試してみてください。
目を閉じて、片足で立ってみます。
目を開けているときより、ぐっとぐらつきませんか。
実は、バランスを取るとき、身体は目から入る情報にもたくさん頼っているんです。

動きは「入力」「統合」「出力」でできています

運動の専門家の間では、動きは「感覚が入ってくる(入力)」「脳がそれをまとめる(統合)」「筋肉に指令が出る(出力)」という流れで成り立つと考えられています。1)
入力が乱れると、出力である動きもぎこちなくなります。2)
つまり、動きにくさの原因が、筋肉そのものではなく「入ってくる情報の乱れ」にある場合もあるわけです。

足裏・目・耳の情報を、脳が束ねています

バランスや動きを支える感覚には、おもに次の3つがあります。

  • 固有受容覚(筋肉や関節がいまどんな位置にあるかを感じ取るセンサー)
  • 視覚(目から入る情報)
  • 前庭覚(耳の奥で、傾きや回転を感じ取る平衡感覚)

姿勢や歩行のバランスを扱った研究の特集では、脳がこの3つの情報を束ね、状況に合わせて「どれをどのくらい頼りにするか」まで切り替えながら、バランスを保っていると紹介されています。3)
この切り替えがうまくいかなくなると、身体が不安定になったり、動きがぎこちなくなったりします。
そして、一部の感覚だけでなく、すべての感覚に目を向けた働きかけが大切なのです。

身体が重く動きにくい背景には、呼吸の使い方と座り姿勢が隠れています

背中を丸めて、長時間パソコンに向かっている会社員

身体の筋肉は、全身を包むボディスーツのようにつながり合っています。
袖口をぐっと引っぱると、背中にシワが寄りますよね。
あれと同じで、どこかが頑張り続けると、離れた場所がつっぱることがあります。
腰が痛いのに、いくら腰を揉んでも戻ってしまうのは、こうした「引っぱり合い」が続いているからかもしれません。

首や肩が、呼吸を手伝わされていませんか

横隔膜(胸とお腹の境目にある、ドーム状の呼吸の筋肉)がうまく使えないと、首、肩、背中の筋肉が呼吸を手伝うことになります。
呼吸は一日に2万回以上くり返されるので、そこで余計な力を使い続けると、身体のバランスが崩れやすくなる、という考え方があります。4)
デスクワークで肩が上がって、息が浅い。
そんな感覚に心当たりがあるなら、ここを見直す意味は大きいはずです。

鍛えている人でも、呼吸の使い方は崩れることがあります

競技者を対象にした研究では、横隔膜をしっかり使って呼吸している人のほうが、肺の働きを調べる検査の結果が良い傾向でした。5)
一方で、毎日トレーニングしているトップレベルの選手でも、呼吸の使い方が崩れている人が少なくありませんでした。
鍛えていることと、身体の使い方が整っていることは、別ものなのです。

ストレスで乱れた自律神経を整えることも、自分らしく動ける身体づくりの土台です

ソファに座って、ネクタイをゆるめて一息ついているスーツ姿の男性

残業のあと、ぐったりしているのに眠れない。
そんな夜は、自律神経が「活動モード」のまま戻れなくなっているのかもしれません。
自律神経には、アクセルにあたる交感神経(活動モードの神経)と、ブレーキにあたる副交感神経(休息モードの神経)があります。
呼吸は、この2つを切り替えるスイッチのような役割を持つ、という考え方があります。7)
しかも呼吸は、自分の意思で調整できるので、自律神経に働きかけやすい手段だという見解もあります。7)

ゆっくり整えた呼吸で、身体は静かに切り替わります

ゆっくりしたペースの呼吸をしたあとには、血圧の変化にうまく対応する身体の反応が高まり、脈拍も落ち着く方向に動くことが確かめられています。8)
おもしろいのは、ゆっくりでなくても、一定のリズムで呼吸を続けるだけで、脈拍や血圧が下がる傾向が見られたことです。
「うまくやらなきゃ」と構えなくても、意識を呼吸に向けるだけで、身体は静かに切り替わっているのかもしれません。

今夜からできる、シンプルな呼吸のやり方

  1. 3秒かけて、鼻から吸います
  2. 9秒〜12秒かけて、ゆっくり吐きます
  3. 3秒、息を止めます

緊張したときや、寝つきが悪い夜に、この流れを数分くり返してみてください。7)
吐く時間を、吸う時間よりしっかり長くとるのがコツです。
眠れない夜こそ、呼吸で副交感神経を優位にして、「活動モード」から「休息モード」へ切り替えましょう。

自分らしく動ける身体づくりをHOOPで。
整える、正す、鍛える、動きにつなげる

ここまで読んで、「結局、何から手をつければいいの?」と思われたかもしれません。
運動指導の現場では、理想的な流れとして、次のような5つのステップが考えられています。1)

  1. 整える(身体の状態を整えて、動きやすい状態をつくる)
  2. 正す(悪い動きのクセや、頑張りすぎ・サボりすぎの筋肉を見直す)
  3. 鍛える(しっかりした負荷をかけて、筋肉の量と力を高める)
  4. 動きにつなげる(整えた動きと高めた力を、日常や競技に結びつける)
  5. 有酸素運動(持久力を育てる)

この5つが順番にかみ合うことで、はじめて身体は「自分らしく」動けるようになる、という考え方です。1)
大事なのは、整えて終わりにしないことです。
力を発揮するには、ある程度の筋肉の量が必要ですし、そこから先は、脳が筋肉をどれだけうまく同時に働かせられるかが大きく関わってくる、とも言われています。1)

HOOPでは、この流れを大切にしています。
施術とトレーニングを担当するのは、理学療法士の資格を持つトレーナーです。
プロサッカーチームのリハビリ、ケア、パフォーマンストレーニングに携わってきた経験をもとに、まず呼吸を整え、そのうえでプレーや日常生活に必要な身体を、段階を踏んで作っていきます。
「マッサージでは治らない腰痛」や「ストレスで乱れた自律神経」でお困りのデスクワーカーの方も、サッカーなどの競技で結果を出したい方も、進め方の考え方は同じです。
「自分の身体が、いまどこでつまずいているのか」を一緒に確認するところから、始めてみませんか。

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MR.HOOPのワンポイント・アドバイス

MR.HOOP

やあ!みんな、調子はどう?MR.HOOPだよ!
今日の記事、読んでみてどうだった?

身体が動かないときって、「気合いが足りないんだ」って自分を責めがちだよね!
でも、会議の前なのに集中できない朝や、残業のあとにどっと疲れが出る夜は、身体が「ちょっと休ませて」ってサインを出しているはずさ。
そんなときは、会議の前に足裏が床にどう触れているかを感じてみるといいよね!
それだけでも、頭の中がスッと静かになるかもしれないよ。

それから、スマホを見ながら寝落ちする夜が続いているなら、寝る前の数分だけ画面を置いてみて。
3秒吸って、9秒〜12秒吐いて、3秒止める。
続けるうちに、朝の身体の軽さが変わってくるかもしれないよね!
焦らなくていいんだ。
一歩ずつ、自分のペースで整えていこう。

おわりに

自分らしく動ける身体づくりは、筋肉をただ鍛えることでも、痛いところを揉みほぐすことでもありません。
足裏や目、耳から入る感覚、呼吸の使い方、そして自律神経。
その土台を整えたうえで、力を発揮できる身体を段階的に作っていくことが、遠回りに見えて、いちばんの近道です。
今日お伝えしたことは、すべての人に当てはまる答えではありません。
けれど、「自分の身体は、どこでつまずいているのかな」と目を向けるだけでも、動きは少しずつ変わっていくはずです。
無理のないところから、あなたのペースで始めてみてください。
身体のことで不安があったり、一人では整理しきれなかったりするときは、HOOPにいつでも声をかけてくださいね。

【引用文献】
1)PERFORM BETTER JAPAN「感覚運動科学とストレングストレーニング」(コラム/ポッドキャスト対談記事)2026年8月10日 https://www.performbetter.jp/blogs/column/20260810
2)AZCARE ACADEMY「感覚運動科学」講座ページ https://academy.azcare.jp/curriculum/sensory-based-movementology/
3)Editorial: Sensory control of posture and gait: integration and mechanisms to maintain balance during different sensory conditions. Frontiers in Human Neuroscience, 2024. doi:10.3389/fnhum.2024.1378599
4)Tarzan Web「横隔膜を使った深い呼吸が、歪んだカラダを整える!」2025年12月12日 https://tarzanweb.jp/post-358578
5)Influence of the breathing pattern on the pulmonary function of endurance-trained athletes. Scientific Reports, 2024. doi:10.1038/s41598-024-51758-5
6)Trunk stability and breathing exercises superior to foam rolling for restoring postural stability after core muscle fatigue in sedentary employees. Scientific Reports, 2025. doi:10.1038/s41598-025-98284-6
7)Panasonic UP LIFE「【専門家監修】免疫力を高める方法!自律神経を整える呼吸とは」2026年3月25日 https://panasonic.jp/life/health/160106.html
8)Slow-Paced Breathing and Autonomic Function in People Post-stroke. Frontiers in Physiology, 2020. doi:10.3389/fphys.2020.573325