「右の肩だけが、いつもパンパンに張っている」
「マッサージで軽くなったのに、腰の左側だけ数日で元に戻る」
「鏡で見ると、肩の高さが左右で違う気がする」
痛みやコリが、いつも同じ側に出ていませんか
片側だけに出ると、「自分の身体は歪んでいるのかもしれない」と不安になりますよね。
でも最初にお伝えします。
身体の左右差は、誰にでもあります。
問題になるのは、左右差があることそのものではありません。
どんな場面で、どんなふうに差が大きくなっているかが大切なのです。
この記事では、身体の歪みと左右差が生まれるしくみ、片側の肩こり・腰痛との関係、そして根本から整える考え方をお伝えします。
読み終えるころには、痛い側だけを揉み続けても戻ってしまう理由が、はっきりわかるはずです。
身体の歪みの原因と左右差は、どこから生まれるのか

身体の歪みと聞くと、骨がずれているイメージを持つ方が多いと思います。
けれど日常で起きている歪みの正体は、多くの場合、筋肉の使い方の左右差です。
利き手でマウスを握る。バッグはいつも同じ肩にかける。脚を組むのは、いつも同じ側。立つときは、決まった脚に体重をのせる。
こうしたクセが毎日積み重なって、左右の筋肉の働き方に差が育っていきます。
痛みと結びつくのは「静かな時間」の左右差
働く人の肩の筋肉を一日中記録して、左右の使い方の差と首の痛みの関係を調べた研究があります。1)
痛みと結びついていたのは、力を入れて作業している場面の左右差ではありませんでした。
ほとんど力を使っていないはずの静かな時間帯に、左右の差が大きい人ほど、痛みが強い傾向があったのです。
休んでいるつもりでも、片側だけ力が抜けきっていない状態になっているのです。
身体のクセのチェックをしてみよう。
次のチェックで、あなたのクセを確認してみてください。
- 立つとき、いつも同じ脚に体重をのせている
- バッグは、ほぼ同じ側の肩にかけている
- 座ると無意識に、同じ側の脚を組んでいる
- 片側の肩だけ上がっている、と言われたことがある
2つ以上当てはまるなら、左右の使い方に偏りが育っているサインです。
片側の肩こり・腰痛は、痛い側だけの問題ではない

「痛いのは右だから、右をほぐせばいい」と考えるのは自然です。
でも研究を見ると、話はそう単純ではありません。
痛くない側も、同じように働きにくくなっている
腰の深い場所で背骨を支えている筋肉(多裂筋)について、慢性的な腰痛のある人の左右を比べた研究があります。3)
結果は、痛い側も痛くない側も、同じように力が入りにくくなっているというものでした。
痛い側だけが弱っているのではなく、腰の土台そのものが両側で働きにくくなっているということです。
痛い側だけをほぐしても、土台が変わらなければ戻ってきてしまう理由が、ここにあります。
痛む側に関係なく、力の抜け方に左右差が出る
もうひとつ、身体を前に倒したときの腰の筋肉に注目した研究があります。4)
本来、深く前に倒れたとき、背骨の脇の筋肉は力を抜いて、背骨を預けるように休みます。
腰痛のある人は、この力の抜け方に左右で大きな差があり、その差は、身体を横に倒す動きの左右差と結びついていました。
しかも、痛みが片側だけの人でも両側の人でも、同じように差が見られたのです。
痛い場所だけを見ていても、答えは見つかりにくいのです。
見るべきなのは、左右の働き方の差と、その土台になっている身体の使い方です。
身体の内側の土台が、左右差と痛みを左右する

では、その土台とは何でしょうか。
鍵のひとつが、肋骨の下にあるドーム状の筋肉、横隔膜です。
横隔膜は、息をするだけでなく、体幹(胴体)を内側から支える役目も担っています。
支える仕事と呼吸の仕事を、同時にこなせているか
慢性的な腰痛のある人と、そうでない人の横隔膜の動きを、画像で比べた研究があります。5)
脚に負荷をかけて身体を支える力が必要になったとき、腰痛のある人は、横隔膜の動きが大きく落ちていました。
支える仕事に追われて、呼吸の仕事まで手が回らなくなるのです。
一方、腰痛のない人は、どちらの仕事も安定してこなし、横隔膜の動きも左右でそろっていました。
横隔膜が働けないと、首や肩が代わりに頑張る
専門家は、呼吸の中心は横隔膜だと伝えています。6)
横隔膜をうまく使えないと、首や肩まわりの筋肉(姿勢を保つための筋肉)が、呼吸まで手伝うことになります。6)
座っているだけなのに肩が張るのは、このためかもしれません。
さらに、お腹だけを前に膨らませるやり方だと、腹圧(お腹の中の圧力)が抜けて、腰に負担がかかります。6)
理想は、吸ったときに胸とお腹が同時に膨らみ、吐いたときに同時に縮むことです。6)
息をしっかり吐いて肋骨を下げると、体幹が安定します。6)
こうした使い方が整うと、緊張しすぎていた筋肉が頑張らなくてよくなります。
その結果、姿勢が変わり、姿勢が原因の腰痛や肩こりも変わっていきます。7)
片側に偏った肩こりや腰痛の裏には、左右どちらかに偏った、身体の内側の使い方が隠れていることが多いのです。
片側の肩こり・腰痛を根本から整える、PRIVATE GYM HOOPのアプローチ

ここまでの話をまとめると、片側の痛みを繰り返さないために必要なのは、次の3つです。
- 痛い場所ではなく、左右の働き方の差を見つけること
- 土台になる身体の内側の使い方を整えること
- 休むべき時間に、きちんと力を抜けるようにすること
PRIVATE GYM HOOPでは、この順番を何より大切にしています。
施術を担当するのは、プロサッカーチームでリハビリ、ケア、パフォーマンストレーニングに携わってきた、理学療法士の資格を持つトレーナーです。
姿勢や動き、左右の力の入り方を丁寧に確認して、痛みの出ている場所と、本当の原因になっている場所を切り分けていきます。
そのうえで、呼吸を整え、日常や仕事、スポーツのプレーに必要な身体を、無理なく適切につくっていきます。
マッサージで戻ってしまう万年腰痛や片側のコリは、身体の使い方そのものが変わることで、少しずつ手放せるようになります。
今日からできる、力を抜く時間のつくり方
ひとつ、すぐに試せる方法をご紹介します。
会議の合間や休憩中に、3秒吸って、9秒から12秒かけて吐き、3秒止めます。
これを3分ほど続けてみてください。
ゆっくりした呼吸は、身体を落ち着いた状態へ切り替え、心の面でも穏やかさにつながることがわかっています。8)
健康な方を対象にした研究が中心で、方法も研究ごとに少しずつ違うため、すべての人に同じ結果が出るとは言い切れません。
それでも、片側だけ力が抜けきらない静かな時間を減らす、最初の一歩としては十分に価値があります。
自分の左右差がどこにあるのか、どこから整えるのが近道なのか。
一度、プロの目で確認してみませんか。
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おわりに

身体の歪みの正体は、多くの場合、日々のクセが育てた筋肉の使い方の左右差です。
左右差そのものは自然なもので、問題になるのは、休む時間にも片側だけ力が抜けない状態が続くことでした。
片側の肩こりや腰痛は、痛い側だけの問題ではなく、両側の土台や、身体の内側の使い方とつながっています。
だからこそ、痛い場所を追いかけるより、左右の働き方と土台を整えるほうが、遠回りに見えて確実です。
万年のコリや痛みは、あなたの身体がずっと出してきた、静かなサインです。
そのサインに、いまから応えていきましょう。
引用文献
1)Koch M, Fan X, Andersen LL, et al. Is asymmetric upper trapezius muscle activation during work associated with neck pain? A cross-sectional and longitudinal analysis. PLOS ONE. 2026;21(6):e0349265. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0349265
2)トレーニング・ジャーナル 特集「姿勢とバランスをめぐって」(号目次). Fujisan.co.jp. https://www.fujisan.co.jp/product/3139/b/1132733/
3)Thu KW, Maharjan S, Sornkaew K, et al. Multifidus Muscle Contractility Deficit Was Not Specific to the Painful Side in Patients with Chronic Low Back Pain During Remission: A Cross-Sectional Study. Journal of Pain Research. 2022;15:1457-1463. https://doi.org/10.2147/JPR.S363591
4)Rose-Dulcina K, Genevay S, Dominguez D, et al. Flexion-Relaxation Ratio Asymmetry and Its Relation With Trunk Lateral ROM in Individuals With and Without Chronic Nonspecific Low Back Pain. Spine. 2020;45(1):E1-E9. https://doi.org/10.1097/BRS.0000000000003196
5)Vostatek P, Novák D, Rychnovský T, Rychnovská S. Diaphragm Postural Function Analysis Using Magnetic Resonance Imaging. PLoS ONE. 2013;8(3):e56724. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0056724
6)ALBA Net編集部. アドレスの瞬間に勝負は決まっている!「息を吐く」だけでパッティングが変わる理由(呼吸の専門家による対談). ALBA Net. 2026年10月8日. https://www.alba.co.jp/articles/category/golf-life/post/a8tph5_beg17/
7)【専門家監修】免疫力を高める方法!自律神経を整える呼吸とは. Panasonic UP LIFE. 2026年3月25日. https://panasonic.jp/life/health/160106.html
8)Zaccaro A, Piarulli A, Laurino M, et al. How Breath-Control Can Change Your Life: A Systematic Review on Psycho-Physiological Correlates of Slow Breathing. Frontiers in Human Neuroscience. 2018;12:353. https://doi.org/10.3389/fnhum.2018.00353