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自律神経を整える呼吸法とは?「吐く息」を変えるだけで身体が切り替わる理由

「夜になっても頭のスイッチが切れなくて、なかなか寝つけない」
「ちゃんと休んでいるはずなのに、朝から身体が重い」
「深呼吸をしてみたけれど、なんだか苦しくなってしまう」

この記事を読みにきたあなた、こんなふうに感じていませんか。

自律神経が乱れているかも、と感じたとき、多くの方が「呼吸を整えましょう」というアドバイスを目にします。
でも、いざやってみると、吸うことばかり頑張ってしまって、かえって肩に力が入ってしまう。
実はこれ、とてもよくあることなんです。

この記事では、自律神経と呼吸がどうつながっているのか、そして忙しい毎日のなかでも取り入れやすい「自律神経を整える呼吸法」のコツを、順番にお話しします。
読み終えるころには、今夜から試せる小さな一歩が見つかるはずです。

自律神経と呼吸の意外な関係とは

まず、自律神経について少しだけおさらいしましょう。
自律神経には、身体をアクティブにする「交感神経」と、身体を休ませる「副交感神経」の2つがあります。
車にたとえるなら、交感神経がアクセル、副交感神経がブレーキのようなものですね。

この自律神経、心臓の動きや血管の太さ、胃腸の働きなどを、本人の意思とは関係なく自動で調整してくれています。
つまり、「今日は副交感神経を働かせよう」と思っても、なかなか思い通りにはなりません。

ところが、
呼吸だけは、自動運転でも動いてくれるうえに、自分の意思で変えることができる、とても珍しい機能なんです。
だから呼吸は、自律神経に働きかけることのできる数少ない手段だと言われています。

呼吸が浅くて速いと、身体は「戦闘モード」のまま

ストレスや緊張が続くと、呼吸は自然と浅くなり、そのぶん回数が増えていきます。
呼吸の回数が増えると交感神経が優位になり、身体がずっと緊張した「戦闘モード」になりやすい、と考えられています1)。

会議の前に心臓がドキドキして、息がハッと止まる感じ、ありますよね。
あの状態が、仕事が終わったあとも、ベッドに入ったあとも続いてしまっているイメージです。

ゆっくり長く吐くと、リラックスモードに切り替わりやすい

反対に、しっかり長く息を吐く呼吸をして、呼吸の回数が減ってくると、副交感神経が優位になり、身体がリラックスモードに切り替わりやすくなります1)。
これは、ゆっくりした呼吸に関する研究をまとめたレビューでも報告されていて、ゆったりした呼吸によって心拍のゆらぎ(心拍変動)が大きくなり、脳波にもリラックス時に見られる変化が現れたとされています2)。

ここで大切なのは、「深く吸う」ことよりも、「ゆっくり、長く吐く」ことのほうです。
吸うことに意識が向きすぎると、胸や肩の力みにつながってしまいます。
吐くほうを主役にしてあげると、身体の余計な力がふっと抜けやすいんです。

こんなサインが出ていたら、呼吸が浅くなっているかも

自分では意外と気づきにくいのですが、次のようなことが続いているときは、呼吸が浅く、速くなっているサインかもしれません。

  • ふと気がつくと、息を止めてパソコンを見ている
  • ため息が増えた、もしくは深呼吸をしたくなることが多い
  • 肩や首がいつもこわばっていて、マッサージをしても戻ってしまう
  • 布団に入っても、頭のなかで仕事のことがぐるぐる回る

ひとつでも当てはまったなら、身体が「ちょっと休ませて」と言っているのかもしれません。
責めるのではなく、「そうか、頑張ってきたんだな」と受け止めてあげてくださいね。
呼吸は、そのサインに一番早く応えてあげられる方法のひとつです。

自律神経を整える呼吸法がうまくいかない3つの理由

呼吸法を試したのに、「効いている気がしない」「むしろ疲れた」という声もよく聞きます。
そこには、いくつか共通した理由があるんです。

理由1:吸うことを頑張りすぎている

「深呼吸」と聞くと、思い切り息を吸い込む姿を想像しませんか。
でも、肩や首まわりの筋肉を使って無理に吸うと、身体はかえって緊張してしまいます。
呼吸は、吐ききったあとに、自然と吸える状態をつくるほうがずっとラクなんですね。

理由2:横隔膜がうまく動いていない

呼吸の主役は、肺の下にあるドーム状の筋肉、横隔膜です。
ところが、デスクワークで長時間同じ姿勢を続けていると、この横隔膜の動きが悪くなっている方が少なくありません1)。

横隔膜は、いわば身体の中央にあるふいご(火をつける時に使う送風機)のような存在です。
このふいごが固まっていると、どれだけ「ゆっくり呼吸しよう」と思っても、空気が入る余地が足りず、呼吸が浅く速いままになってしまいます。

理由3:姿勢や肋骨の位置がロックされている

猫背や反り腰などで、肋骨の形や向きがいつもの姿勢でクセづいていると、呼吸のたびに肋骨が広がる動きも制限されてしまいます。
呼吸は、姿勢や身体の使い方ともつながっていて、酸素と二酸化炭素のガス交換だけでなく、動きや痛み、感覚にも影響すると考えられています3)。

「呼吸法」だけを切り取って頑張っても、土台になる身体の状態が整っていないと、なかなか手応えが出にくいのはこのためなんです。

今日からできる、自律神経を整える呼吸法のコツ

ここからは、道具も場所も選ばない、シンプルなやり方をご紹介します。
ポイントは、「頑張らない」ことです。

ステップ1:まず、息を吐くことから始める

  1. 楽な姿勢で座るか、仰向けになります。
  2. 口をすぼめて、細く長く、ふーっと息を吐きます。
  3. お腹の力を抜くように、吐き切ったところで少し止まります。
  4. 吸おうとせず、鼻から自然に空気が入ってくるのを待ちます。

吐く時間は、吸う時間より少し長めが目安です。
よくおすすめしているのは3秒吸って9秒〜12秒吐いて、3秒止める、という呼吸法です。
これをやるだけでかなり気持ちがスッキリすると思います。

ステップ2:回数を「少なく」していく

ゆったりした呼吸を続けていくと、1分間の呼吸の回数がだんだん減っていきます。
研究では、1分間に6回前後のペースで、心拍のゆらぎが最も大きくなりやすいと報告されています4)。

ただ、これはあくまで目安です。
数を数えることが逆にプレッシャーになる方は、「いつもより少しゆっくり」くらいの気持ちで大丈夫です。

ステップ3:1日のなかで「切り替えポイント」を決める

呼吸は、続けることで身体のクセになっていきます。
おすすめは、次のような場面で、3回だけ試してみることです。

  • 会議や商談の前に、席に着いたとき
  • パソコンを閉じて、席を立つ前
  • 布団に入って、スマホを置いたあと

「1日10分」と決めるより、「ゆっくりとした3呼吸を1日何度も」のほうが、忙しい方には続けやすいですよ。

うまくいっているかどうかの、ちょっとした目安

呼吸法は、目に見える変化が少ないぶん、「これで合っているのかな」と不安になりやすいものです。
そんなときは、終わったあとの身体の感覚に注目してみてください。

  • 肩や首まわりが、やわらかくなった感じがする
  • 手足が、じんわり温かくなってきた
  • 頭のなかのざわざわが、少し静かになった

どれかひとつでも感じられたら、身体がリラックスの方向に向かっているサインです。
逆に、頭がクラクラしたり、苦しさが強くなったりしたときは、無理に続けず、いつもの呼吸に戻してくださいね。
「気持ちいい」と感じる範囲でやめておくのが、長続きするコツです。

なお、これらはあくまでセルフケアとしての目安です。
めまいや動悸、強い息苦しさなどがある場合は、無理をせず、医療機関で相談してくださいね。

今日から始める、1週間のスモールステップ

ここまでの内容を、日常に取り入れるための、1週間のステップをご紹介します。
「自律神経を呼吸で整える」というテーマを、身体で確かめていくイメージです。
完璧にやる必要はありません。
できた日だけでも、十分です。

  • 1日目:朝、目が覚めたら、布団のなかで、ふーっと吐く呼吸を3回行います。
  • 2日目:通勤の時間に、電車の中や歩きながら、こっそり長めに吐いてみます。
  • 3日目:パソコンを開く前に、肩を落として、ひと呼吸します。
  • 4日目:会議やメールの前に、席で3回、細く長く吐きます。
  • 5日目:昼休みに、外の空気を吸いながら、ゆっくりした呼吸を5回行います。
  • 6日目:夜、入浴中やお風呂上がりに、リラックスした状態で、5回吐きます。
  • 7日目:1週間を振り返り、続けやすかったタイミングを、ひとつ選んで習慣にします。

体調が優れない日は、無理をせず、休んで大丈夫です。
痛みや、めまい、息苦しさなどが出る場合は、すぐにやめて、いつもの状態に戻してください。
症状が続くときは、医療機関で相談することも、大切です。

呼吸の質を根本から変えたいなら、身体の土台から整える

ここまで、呼吸法のコツをお伝えしてきました。
ただ、それでも「やっぱりうまくいかない」という方は、呼吸そのものというより、呼吸を支える身体の状態に理由があるのかもしれません。

横隔膜が動きやすい位置に、肋骨や骨盤がそろっているか。
首や肩ばかりで呼吸を頑張るクセがついていないか。
こうした土台が整うと、特別なことをしなくても、呼吸は自然と深く、ゆっくりになっていきます。

PRIVATE GYM HOOPでは、ジムではありますが、呼吸から始め、根本から身体を整えることから始めます。
まず呼吸のクセや姿勢、身体のバランスを丁寧に確認し、
そのうえで、その方の身体に合った、無理のない動きから少しずつ組み立てていきます。
「頑張らなくても呼吸がラクになる」感覚を、身体で実感していただくことを大切にしています。

自分の呼吸のクセが気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。

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MR.HOOPのワンポイント・アドバイス

やあ!みんな、調子はどう?MR.HOOPだよ!
今日は「吐く息」の話だったけれど、ちょっとだけ僕からも言わせてね。

会議の前って、つい「よし、頑張るぞ」って息を吸い込んで、胸を張っちゃうよね!
でも、そこで一回ふーっと長く吐いてみると、意外と頭がクリアになるはずさ。

それから、残業後の帰り道。
電車の中でスマホを見ながら、ずっと息を止めるみたいにして画面を見ていないかな。
そんなときこそ、ゆっくり吐く3回の出番だよね!

夜、ベッドでスマホを見ながら寝落ちする習慣がある人は、スマホを置いたあとに、吐く息を長くしてみて。
身体が「今日はもう終わりだよ」って気づいてくれるはずさ。

完璧を目指さなくて大丈夫。
まずは今日、3回だけ。
それだけで、明日の朝の感じがちょっと変わるかもしれないよ!

おわりに

自律神経を整える呼吸法のポイントは、次の3つでした。

  • 吸うことより、ゆっくり長く「吐く」ことを主役にする
  • 呼吸の回数が減ると、身体はリラックスモードに切り替わりやすくなる
  • 呼吸法だけでなく、横隔膜や姿勢といった身体の土台も大切

呼吸は、人が一日に何万回も繰り返している、いちばん身近なセルフケアです。
その質が少し変わるだけで、眠りの深さや朝の目覚め、日中の集中力にも、じわじわと変化が現れていきます。

まずは今夜、布団の中で、ふーっと長く吐くところから始めてみてくださいね。

引用文献

1)日経Gooday(日経ヘルス).姿勢や尿もれも改善する すごい「横隔膜呼吸」とは?.2024年7月8日.
2)Zaccaro A, Piarulli A, Laurino M, et al. How Breath-Control Can Change Your Life: A Systematic Review on Psycho-Physiological Correlates of Slow Breathing. Frontiers in Human Neuroscience. 2018;12:353.
3)AZCARE ACADEMY/ASI(Applied Sensorimotor Integration).呼吸講座の詳細(講座紹介ページ).
4)Russo MA, Santarelli DM, O’Rourke D. The physiological effects of slow breathing in the healthy human. Breathe. 2017;13(4):298-309.