ジャーナル

浅い呼吸を改善するには?肩と首で頑張る呼吸から、横隔膜で動く呼吸へ

「気づくと息を止めて、パソコンを見ています」
「深く息を吸おうとすると、肩ばかり上がってしまうんです」
「一日中、なんとなく息苦しい感じがあります」

もし、こんなふうに感じているなら、その呼吸は「浅く」なっているのかもしれません。

呼吸が浅い状態は、あまりにも日常的なので、自分ではなかなか気づけません。
でも、肩こりや首のこわばり、寝ても取れない疲れの裏側に、実は浅い呼吸が隠れていることは珍しくないんです。

この記事では、呼吸が浅くなる理由と、そのクセを少しずつほどいていくための考え方をお伝えします。
「頑張って深呼吸をする」のではなく、「自然に深くなる身体」を目指していきましょう。

浅い呼吸とは?まず知っておきたい、呼吸の基本

浅い呼吸とは、ひとことでいえば、「息を吸ったり吐いたりする量が少なく、そのぶん回数が増えている状態」です。
ストレスや緊張が続くと、呼吸はどうしても浅く、速くなりやすいといわれています1)。

呼吸のメインエンジンは「横隔膜」

呼吸の主役は、肋骨の下にあるドーム状の筋肉、横隔膜です。
息を吸うと横隔膜が下がり、肺が広がって空気が入ってくる。
吐くと横隔膜が上がって、空気が出ていく。
車でいえば、これがメインエンジンにあたります。

ところが、デスクワークや緊張の続く生活では、このメインエンジンの動きが悪くなっている方が少なくありません1)。
すると、身体は「代わり」を探します。
それが、首や肩、胸まわりの筋肉なんですね。

「胸で息をする」と、身体にはクセがつく

首や肩、胸で息を吸う「胸式」の呼吸は、お腹まわりの横隔膜を使う呼吸に比べて、身体の姿勢を乱しやすいことが報告されています2)。
呼吸のたびに、身体がゆらゆらと揺さぶられるようなイメージです。

1日に2万回以上も繰り返す呼吸が、そのたびに首や肩を引っ張り上げていたら、どうなるでしょう。
肩こりが取れなかったり、マッサージをしてもすぐ戻ってしまったりするのは、決して不思議なことではないんです3)。

呼吸が浅くなってしまう3つの原因

浅い呼吸は、性格や気合の問題ではありません。
そこには、ちゃんと原因があります。
主なものを3つ見ていきましょう。

原因1:ストレスと緊張で、身体が身構えている

大事なプレゼンの前や、上司からのメールを開く瞬間、息がフッと止まった経験はありませんか。
ストレスを感じると、身体は無意識に「戦う準備」に入ります。
呼吸が浅く速くなり、交感神経が優位になって、身体がずっと緊張したモードのままになってしまうんですね1)。

原因2:長時間の同じ姿勢で、肋骨が動かない

猫背や、前かがみの姿勢が続くと、肋骨まわりの動きが小さくなります。
肋骨は、呼吸のたびにカゴのように広がったり閉じたりするのが本来の姿です。
このカゴがかたまってしまうと、横隔膜が動きたくても、動けるスペースがありません。

原因3:口呼吸のクセがついている

深くゆったりとした鼻呼吸ができていれば、横隔膜はしっかり使えます。
反対に、浅い口呼吸では、横隔膜を使い切れないと指摘されています3)。
無意識に口が開いていたり、呼吸のたびに肩が動いたりする方は、少し意識してみるといいかもしれません。

あなたの呼吸は浅い? 5つのセルフチェック

浅い呼吸かどうかは、次のような日常のサインからも見えてきます。
いくつ当てはまるか、気軽にチェックしてみてください。

  • ふと気がつくと、息を止めて画面を見ている
  • ため息が増えた、あるいは意識して深呼吸したくなる
  • 息を吸うとき、肩や首の筋肉に力が入る
  • 階段や早歩きのあとに、息が上がりやすくなった
  • 寝ても疲れが取れず、朝から身体が重い

3つ以上当てはまる方は、呼吸のクセを見直すタイミングかもしれません。
ただし、息切れが強い、胸が締めつけられる、といった症状があるときは、呼吸のクセ以前に医療機関で相談することが大切です。
そこは、無理せず頼ってくださいね。

浅い呼吸を改善するために、今日からできること

それでは、浅い呼吸を改善していくための、具体的な工夫をご紹介しますね。

ポイント1:吸うより先に、吐くことから

浅い呼吸の方は、つい「大きく吸わなきゃ」と思いがちです。
でも、実は順番は逆のほうがうまくいきます。
まずは口をすぼめて、ふーっと細く長く吐く。
肺の中の空気を出し切ると、意識して吸おうとしなくても、自然と空気が入ってきます。

しっかり長く吐く呼吸をして、呼吸の回数が減っていくと、身体はリラックスの方向に切り替わりやすくなります1)。

ポイント2:肩を落として、脇腹や背中に空気を通す

  1. 椅子に座り、片手を脇腹に当てます。
  2. 息をふーっと吐きながら、肩をストンと落とします。
  3. 鼻から自然に空気が入ってくるのを待ちます。
  4. 手を当てた脇腹が、横にふくらむのを感じてみましょう。

肩が上がらず、脇腹や背中側に空気が入る感じがしてきたら、横隔膜が動き始めているサインです。
最初は、まったく感じられなくても大丈夫。
1日に何回か、続けるうちにだんだん感覚が出てきます。

ポイント3:ゆっくりした呼吸を、習慣に

横隔膜を使ったゆっくりした呼吸を続けることで、ストレスの指標が下がり、集中力が高まったという研究もあります。
成人40名を対象にした実験では、8週間で計20回の呼吸練習を行ったグループで、気持ちの落ち込みや不安が和らぎ、ストレスホルモンの一種であるコルチゾールも低下したと報告されています4)。

もちろん、この研究のやり方をそのまま真似する必要はありません。
大切なのは、「毎日ちょっとだけ」続けることです。
歯みがきのように、生活のなかに組み込めると理想的ですよね。

「深く吸おう」とするほど、逆効果になることも

呼吸を変えようと決意した方ほど、実は落とし穴があります。
それは、「深く吸おう」と頑張りすぎてしまうことです。

胸をぐっと張って、肩を上げて、大きく吸い込む。
これは一見、深い呼吸のようですが、首や肩の筋肉をたくさん使っています。
身体にとっては、むしろ頑張って緊張している状態なんですね。

ちなみに、腹式呼吸やピラティスの呼吸は、呼吸の専門家の間では「応用の呼吸」と位置づけられることもあります1)。
つまり、土台となる自然な呼吸がうまく動かないまま、応用の呼吸だけを頑張っても、なかなか身につかないということです。
まずは「頑張らなくても呼吸が動く身体」を目指す。
それが、いちばんの近道になるはずです。

浅い呼吸を根本から変えるには、呼吸を支える土台が必要です

ここまで、自分で呼吸を整えるコツをお伝えしてきました。
ただ、それでも「やっぱり浅いまま」「すぐ元に戻ってしまう」という方もいらっしゃると思います。

その場合は、呼吸そのものよりも、呼吸を支える身体の状態に理由があることが多いんです。
肋骨の向き、骨盤の傾き、首や肩のこわばり。
このあたりが整っていないと、横隔膜が動くスペースがなく、どうしても浅い呼吸に戻ってしまいます。

PRIVATE GYM HOOPでは、まずはじめにその方の呼吸のクセや姿勢、肋骨と骨盤のバランスを丁寧に確認します。
そこから、横隔膜がのびのびと動ける土台づくりを、無理のない動きで一緒に進めていきます。
「気づいたら呼吸がラクになっていた」という感覚を、大切にしています。

呼吸が浅い自覚がある方は、まずお気軽にご相談ください。

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MR.HOOPのワンポイント・アドバイス

やあ!みんな、調子はどう?MR.HOOPだよ!
浅い呼吸の話、どうだったかな。

会議の前に「集中しなきゃ」って思うほど、肩に力が入って息が浅くなること、あるよね!
そんなときは、席に着いたらまず、ふーっと吐いてみて。
頭がスッと整理される感じがするはずさ。

メールの返信が溜まってくると、みんな息を止めて画面をにらんじゃうよね。
1通返したら、ひと呼吸。
これをルールにするだけで、残業後のぐったり感がちょっと変わってくるはずさ。

それと、夜のスマホ。
寝落ちするまで見てしまう日は、スマホを置いたあとに、長く吐く呼吸を3回だけやってみて。
身体に「もう仕事は終わりだよ」って伝えてあげるイメージだよね!

おわりに

浅い呼吸の改善について、ポイントをまとめます。

  • 浅い呼吸は、ストレス、姿勢、口呼吸などが重なって起こる
  • 首や肩で息をするクセは、肩こりや疲れにもつながりやすい
  • 吸うより先に「吐く」ことから始めると、横隔膜が動きやすくなる
  • それでも戻ってしまうときは、呼吸を支える身体の土台を見直すことが大切

呼吸は、毎日何万回も繰り返される、いちばん身近な習慣です。
だからこそ、少し変わるだけで、身体も気持ちも大きく変わっていきます。
今日の仕事終わりに、ふーっと長く吐くところから、始めてみませんか。

引用文献

1)日経Gooday(日経ヘルス).姿勢や尿もれも改善する すごい「横隔膜呼吸」とは?.2024年7月8日.
2)Hamaoui A, et al. Respiratory disturbance to posture varies according to the respiratory mode. Neuroscience Letters. 2010;475:141-144.
3)Tarzan Web.横隔膜を使った深い呼吸が、歪んだカラダを整える!.2025年12月12日.
4)Ma X, et al. The Effect of Diaphragmatic Breathing on Attention, Negative Affect and Stress in Healthy Adults. Frontiers in Psychology. 2017;8:874.